白内障
白内障の症状および特徴
白内障は水晶体の混濁する疾患で、網膜への光透過率が減少します。自覚として視力低下(かすみ)、羞明(まぶしさ)、単眼性複視(ものが2つに見える)といった症状をきたします。加齢とともに有病率は増加し、世界では中途失明原因の第一位であると報告されています。
白内障は手術で治療可能ですが、発展途上国では貧困や眼科医師の少なさから治療を受ける事が出来ず失明に至る患者さんが多いとされています。
白内障発症の危険因子
白内障発症の危険因子として、加齢が最も重要な因子ですが世界の疫学調査から糖尿病・紫外線・ステロイド・近視・肥満・喫煙なども白内障と関連している事が報告されています。是正可能な因子を予防していくことで白内障のリスクを軽減できるかもしれません。
白内障の全身への影響
白内障は視力低下等の視機能障害だけでなく、精神機能・睡眠・心血管・動脈硬化等にも影響を与える可能性が我々の研究結果から示唆されています。
これらの研究結果から白内障手術は視機能改善だけでなく、生活の質(quality of life)や生命予後の改善にも影響を与える可能性が考えられます。
白内障手術
近年の白内障手術は安全性が非常に高くなり、短時間で終了することが可能となっています。また多くの場合、局所麻酔(眼のみの麻酔)で行い、痛みもほとんどありません。
日本では年間約140万件もの白内障手術が実施されており、手軽な手術と勘違いされる方もいますが顕微鏡下のミリ単位での高度な技術が必要です。まれですが手術中に合併症が生じることもあるため熟練した眼科専門医による手術が望まれます。
参考文献
- ※1
Effect of cataract surgery on cognitive function in elderly: Results of Fujiwara-kyo Eye Study. Miyata K, Yoshikawa T, Morikawa M, Mine M, Okamoto N, Kurumatani N, Ogata N. PloS one 13(2) e0192677 2018年 - ※2
Higher Cognitive Function in Elderly Individuals with Previous Cataract Surgery: Cross-Sectional Association Independent of Visual Acuity in the HEIJO-KYO Cohort. Miyata K, Obayashi K, Saeki K, Tone N,Tanaka K, Nishi T, Morikawa M, Kurumatani N, Ogata N. Rejuvenation Research 19, 239-243 2016年 - ※3
Comparisons of Objective Sleep Quality Between Elderly Individuals With and Without Cataract Surgery: A Cross-Sectional Study of the HEIJO-KYO Cohort. Obayashi K, Saeki K, Miyata K, Nishi T, Tone N, Tanaka K, Ogata N, Kurumatani N. 25 529-535 2015年 - ※4
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Cataracts and Subclinical Carotid Atherosclerosis in Older Adults: A Cross-Sectional Study of the HEIJO-KYO Cohort. Yoshikawa T, Obayashi K, Miyata K, Nishi T, Ueda T, Kurumatani N, Saeki K, Ogata N, Circulation Journal in press 2019年7月